
- この記事はこんな人におすすめ
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- 急に肌のヒリヒリ感が現れた人
- 特定の時期にヒリヒリ感が出る人
- 美しい肌を保ちたい人
普段通り化粧品を使っただけなのに、急に肌がヒリヒリしてしまうことはありませんか?特に、長年愛用している化粧品を使ったときにヒリヒリ感が出ると、原因が予想できずに不安になってしまう方も多いでしょう。本記事では、化粧品を使ったときに急にヒリヒリ感が現れる理由・原因やヒリヒリ対策、再発を防ぐ肌に優しい方法などを詳しく解説します。
- この記事を読むとわかること
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- 化粧品を使ったときに肌がヒリヒリする原因
- 肌がヒリヒリしたときの対処法
- 肌のセルフチェック方法
- ヒリヒリ感の再発を防ぐケア方法
- 肌ケアに漢方薬が有効な理由
肌のトラブルには当帰飲子 (とうきいんし)
当帰飲子 (とうきいんし)は、皮膚炎や湿疹などの治療に使われる漢方薬です。乾燥を防ぐことで肌の調子を整え、美しい肌を保つのに役立ちます。
急に化粧品で肌がヒリヒリするのは一般的なこと?
いつもと同じ化粧品を使ったときに、突然ヒリヒリしたり、しみるような感覚が出たりすると、驚きとともに不安に思ってしまうかもしれません。特に、「自分の身体に何か異常が起きているのかも?」と、心配になってしまうこともありますよね。
しかし、化粧品を使ったときに、こうしたヒリヒリ感を覚えたことがある女性は多く、決して珍しいことではありません。化粧品をよく使う女性なら、一度は経験したことのある一般的な悩みです。そのため、対策は必要ですが、必要以上に心配になったり、怖くなったりする必要はありません。
ヒリヒリした時は冷静に対処しましょう
化粧品を使ったときのヒリヒリ感は、意外に多くの女性が経験しています。基本的に特別な病気などではないので、冷静に対処することが大切です。
化粧品を使ったら急にヒリヒリする原因

化粧品を使って急に肌がヒリヒリしたときは、その化粧品が現在の肌の状態に合っていないというサインです。ここでは、どうして急に肌に合わなくなってしまったのか、その原因について解説します。
肌のバリア機能が低下した
いつもと同じ化粧品を使っているのにヒリヒリする場合、肌のバリア機能が低下し、化粧品に敏感に反応していることが考えられます。
肌のバリア機能とは、肌の表面が化学物質や花粉などの刺激や侵入を防ぐはたらきのことです。バリア機能が低下すると、バリアに隙間ができて刺激物が肌の内部に侵入しやすくなります。その結果、化粧品に含まれている成分が肌の中に入り込んでしまうため、肌のヒリヒリ感が現れます。
肌のバリア機能を低下させる原因には、主に以下のようなものがあります。
- 乾燥
- 紫外線・日焼け
- 間違ったスキンケア
- 皮膚の菲薄化(ひはくか)
- 生活習慣の乱れ
肌のバリア機能が低下する原因の多くは、普段の生活の中に潜んでいます。例えば、紫外線・日焼けケアをしない、食生活が乱れているといった生活を続けていると、バリア機能は日々低下してしまいます。

美肌を意識しすぎて、強く擦るようなクレンジングなど、間違ったスキンケアでバリア機能が損なわれることもあります。肌のヒリヒリを感じたら、まず普段の生活を振り返り、肌に負担をかけるようなことをしていないか確認しましょう。
化粧品の添加物による影響
化粧品に含まれる成分による刺激も、ヒリヒリ感の原因です。特に、肌のバリア機能が低下していると、今まで問題のなかった成分にも敏感に反応してしまいます。そのため、化粧品の成分の中でも、刺激が強い成分はどのようなものかを知っておくことが大切です。
肌への刺激が強いとされている成分には、次のような成分が挙げられます。
- 合成界面活性剤
- 香料
- 着色料
- 鉱物油
- 防腐剤(パラベン、エタノールなど)
- 合成安定剤
- 紫外線吸収剤
- シリコーン
- 合成ポリマー
- アルコール
また、体質変化によって、特定の成分で突然アレルギー反応が現れることもあります。ヒリヒリ感がアレルギーの初期症状である可能性もあるので注意しましょう。
ビタミンC誘導体やレチノールなど、美肌効果が期待される成分でも、刺激を感じることがあります。美肌成分であっても、成分の内容や配合量には注意しましょう。
ホルモンバランスの変化
肌のバリア機能は、女性ホルモンと大きく関係しています。月経や妊娠、出産など、女性特有の理由による女性ホルモンの変化でも、肌のバリア機能は低下します。特に、排卵日から生理期間中は肌が敏感になりやすいため、化粧品の使用でヒリヒリを感じやすくなります。
また、ストレスや過労、食生活の乱れもホルモンバランスを崩す要因の1つです。生理の痛みや辛さでストレスが増えたり、食事内容が偏ったりすると、よりホルモンバランスが崩れます。生理が重い場合でも、なるべく普段通りの生活を心がけることが大切です。
生理周期と肌の異変の時期を確認しましょう
毎月特定の期間に繰り返し肌のヒリヒリ感が現れる場合、生理が原因になっている可能性があります。一度、生理周期と肌の異変の時期が重なっていないかチェックしてみましょう。
物理的な刺激
日差しや化粧品以外にも、肌は日々さまざまな刺激を受けています。例えば、化粧品を塗るためのブラシやケアに使うコットン、髪の毛などから摩擦刺激を受けています。こうした刺激によるダメージが肌に蓄積すると、バリア機能を低下させ、化粧品を使ったときのヒリヒリ感につながります。
特に、花粉症などの対策のために身につけるマスクは、肌への負担が大きいアイテムです。マスクをしていると、内部の湿気で肌がふやけ、外した時に水分が一気に蒸発して乾燥が促進されます。その結果、かえって花粉などでアレルギー反応が起こることもあるので、マスクを長時間着用する場合には注意が必要です。
ヒリヒリ感以外の肌トラブルとセルフチェックリスト
化粧品を使ったときのヒリヒリ感は、肌が弱って敏感になっているサインです。しかし、肌が敏感になっているときは、ヒリヒリ感以外の症状も現れる場合があります。
また、化粧品以外の刺激も、症状を引き起こす引き金になります。そこで、原因を迅速に特定して早期対策をするためにも、以下のリストを使って肌の状態や状況をセルフチェックしてみてください。
ヒリヒリ感以外の主な症状 | 症状が現れたタイミング |
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化粧品を使ったときの肌のヒリヒリ感は、あくまでも肌が弱っているサインの1つです。他の症状から現れることもあるので、毎日肌の状態をチェックする習慣を作りましょう。
急に肌がヒリヒリしたときの応急処置とNG行動

肌がヒリヒリしている状態で化粧品を使っていると、症状や肌の状態が悪化してしまいます。そこで、肌にヒリヒリ感がある場合の適切な対処法とNG行動について解説します。
対策①:入浴後は5分以内にしっかり保湿
湿気が多い季節でも、肌の内部は乾燥している「インナードライ」状態になりがちです。入浴後はできるだけ早く保湿ケアを行い、水分の蒸発を防ぎましょう。セラミドやヒアルロン酸配合の保湿剤をたっぷり使うのがおすすめです。
ヒリヒリしたときの応急処置
化粧品をつけてヒリヒリしたときに大切なことは、すぐにその化粧品の使用を止めることです。使い続けると、肌の症状が悪化する可能性が高いため、お気に入りのものであっても使うのは止めましょう。
そして、肌につけた化粧品はぬるま湯で優しく洗い流し、化粧品による刺激を取り除きましょう。洗い流した後もヒリヒリ感が残っている場合は、冷たいタオルや保冷剤を使って、肌をクールダウンさせます。患部を冷やすことで症状が一時的に和らぐため、気持ちも楽になります。
やってはいけないNG行動
肌がヒリヒリしたときに絶対にやってはいけないのは、肌を強く擦ることです。化粧品を落とすときやタオルで拭くときに強く擦ると、さらに肌が傷ついてしまうため、症状が悪化する可能性があります。さらに、化粧品を落とすのに熱いお湯を使ったり、ヒリヒリした部分に別の化粧品を使ったりするのも避けましょう。その日は紫外線対策などの肌ケアに重点を置いた、薄めのメイクをすることが大切です。
また、自己判断で市販薬を使用するのも注意が必要です。市販薬の刺激で肌の状態が悪化することもあるので、まずは化粧品を取り除いて、最低限の保湿ケアなどを施して肌を休ませましょう。
ワセリンを使用する場合は注意を
ワセリンは、外部刺激や水分の蒸発を防ぐため、保湿ケアには適したアイテムです。しかし、水分補給はできないため、顔のヒリヒリを防ぐには効果が不十分なので注意しましょう。
再発を予防するセルフケア方法

肌の機能や体質が改善すると、化粧品をつけたときのヒリヒリ感は徐々に収まっていきます。しかし、一度改善しても、根本的な原因を解決できないと、再発する可能性があります。そこで、再発予防と日常ケアのポイントについて解説します。
低刺激のスキンケアを心がける
化粧品に含まれている成分が肌に合わない場合、または合わなくなった場合、そのまま使い続けると再発する可能性があります。場合によっては、ヒリヒリ感以上の症状が現れるリスクもあります。そのため、低刺激・敏感肌用の化粧品に切り替えていくことが大切です。
低刺激・敏感肌用の化粧品を選ぶ場合、次のポイントを意識して選びましょう。
- 配合成分の確認:合成界面活性剤、香料、着色料など、肌に負担がかかる成分が配合されていないか確認する
- テスト済み表記の確認:「アレルギーテスト済み」「パッチテスト済み」などの表記は、低刺激性の試験をクリアした製品であることを示しており、肌に優しい化粧品だと判断できる
- 保湿成分を重視する: 乾燥はバリア機能低下の大きな原因であるため、高保湿成分(セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸、アミノ酸など)が配合された化粧品を選ぶ
- パッチテストを行う:新しい化粧品を使う前に、二の腕の内側など目立たない部分に少量塗り、赤みやかゆみが出ないか24~48時間様子を見る
- 化粧品全体の見直し:ヒリヒリの原因が1つの化粧品とは限らないため、徐々に使用中の化粧品全体を、肌に優しい化粧品へ変更する

「無添加」と表示された化粧品でも、一部の添加物が無配合なだけの場合があります。表示だけで選ぶのではなく、必ず全成分の表示を確認しましょう。
正しい方法で肌ケアをする
スキンケアは美しい肌を保つためには重要ですが、ケア時の肌への刺激により、肌のバリア機能を傷つけてしまう恐れがあります。特に、ヒリヒリ感があると、「もっと肌を清潔にしなければ」と思ってしまい、過度なスキンケアをしてしまうことがあります。
そこで、次のポイントを意識して、肌に負担をかけない正しいスキンケア方法を身につけましょう。
- 洗顔は優しく丁寧に: 洗顔料はしっかりと泡立て、泡をクッションにして肌を撫でるように洗う
- ぬるま湯を使う: 熱いお湯ではなく30~35℃程度のぬるま湯を使い、すすぎ残しがないように丁寧に洗い流す
- 洗顔後はすぐに保湿: 肌が乾燥しないよう、洗顔後は速やかに化粧水や乳液などで保湿する
- コットンを使わない: 化粧水や乳液は、コットンではなく清潔な手のひらに取り、優しく顔全体を包み込むようにしてなじませる

スキンケアやメイクをする機会の多い顔は、他の部位よりも皮膚が薄くなっています。化粧品だけでなく洗顔料の成分にも注意して、肌に優しいスキンケアを行いましょう。
紫外線・摩擦を避ける
外出時の注意点は、主に紫外線と摩擦の2つです。紫外線というと、春~夏に多いイメージがありますが、実は冬でも紫外線による肌へのダメージは蓄積されています。冬は乾燥によって肌が傷つきやすくなっているので、1年中しっかりと紫外線対策を行いましょう。
また、外出時の肌への摩擦刺激は、マスクと衣類の2つが大きな要因です。医療従事者など、長時間マスクをするときには、マスクが当たる部分にワセリンを薄く塗るなどの対策が効果的です。衣類からの刺激を抑えるためには、綿やシルクといった肌に優しい素材のものに変えるのがおすすめです。
アレルギーがすでに判明している場合は、原因物質が含まれる化粧品や製品の使用を避けることも重要です。「〇〇由来」などにも注目して、利用する化粧品を選びましょう。
生活習慣を改善する
日々の生活習慣と肌の状態には、密接な関係があり、生活習慣の乱れに伴い肌機能も弱くなります。そのため、睡眠、食事、ストレスの3つの観点から生活習慣を見直し、改善を行うことが、ヒリヒリ感の対策と再発予防のどちらでも重要です。
生活習慣の改善が必要な主な理由や対策方法は、それぞれ次のとおりです。今の生活習慣を見直し、できることから少しずつ改善していきましょう。
生活習慣 | 改善が必要な理由 | 対策方法 |
---|---|---|
睡眠 | 睡眠不足や質の低い睡眠は、自律神経の乱れやターンオーバーの乱れにつながるため |
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食事 |
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ストレス | バリア機能の低下やホルモンバランスの乱れにつながるため |
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この3つの中でも、特に重要なのがストレス管理です。抱えるストレスが大きくなると、睡眠不足や食欲低下による栄養不足などを招きます。ストレスが、肌に悪い生活習慣を引き起こす根本の要因となることもあるので、最優先で対策しましょう。
肌のヒリヒリケアには漢方薬が活躍!
漢方では、人の体は以下の3つの要素で構成されていると考えられています。
- 気(き):体を動かすエネルギー。
- 血(けつ):全身の組織や臓器に栄養を与えるもの。
- 水(すい):飲み物や食べ物から得られる潤いを指します。
肌に関する要素は「血」に該当し、肌トラブルの多くは、「血」の機能的不足である「血虚(けっきょ)」が原因の1つです。血虚の状態では、肌も栄養不足となり、肌のバリア機能を低下させるため、ヒリヒリ感などが現れやすくなると考えられています。
そこで、漢方薬を上手に活用することが、化粧品を使ったときのヒリヒリ感といった、肌トラブルの改善につながるのです。肌トラブルに有効な漢方薬には、主に以下のようなものがあります。
漢方薬名 | 主な適応症状 |
---|---|
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう) | 赤いニキビ、顔や頭部の湿疹・皮膚炎 |
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) | ニキビ、皮膚炎 |
温清飲(うんせいいん) | 乾燥肌、赤み、かゆみ、ヒリつき、手指の湿疹 |
当帰飲子(とうきいんし) | 乾燥肌、かゆみ肌(皮脂欠乏性湿疹) |
消風散(しょうふうさん) | かゆみ、ジュクジュクとした湿疹・皮膚炎、じんましん、水虫、あせも |
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) | 化膿し始めの赤いニキビ、湿疹、じんましん、水虫 |
四物湯(しもつとう) | 乾燥肌 |
桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎとう) | 虚弱体質の人の湿疹、皮膚瘙痒症 |
桂枝茯苓丸料加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん) | シミ、ニキビ、手足の湿疹・皮膚炎、月経不順、血の道症 |
化粧品を使ったときのヒリヒリ感には、温清飲や乾燥ケアにもなる当帰飲子・四物湯が適しています。表のように、漢方薬の種類によって適応症状が異なるので、肌トラブルの症状に合わせて最適な漢方薬を活用しましょう。

漢方薬は身体の内側から肌ケアをサポートしてくれるお薬です。体質によって合う漢方薬は異なるので、医師や薬剤師と相談しながら、利用する漢方薬を選びましょう。
まとめ
化粧品を使ったときに現れる急なヒリヒリ感は、肌が弱っているサインの1つです。ヒリヒリ感を放置して化粧品を使い続けていると、症状が悪化してしまう恐れがあります。そのため、肌のヒリヒリを感じたら、迅速に適切なケアを行うことが大切です。
また、肌のヒリヒリ感が現れる要因には、日々の生活習慣が大きく関わっています。どうして肌が弱くなってしまったのか、普段の生活を見直し改善することが重要です。漢方薬は、生活習慣の改善などをしっかりサポートしてくれるので、漢方薬も上手く活用しながら、肌のヒリヒリ感を根本から改善させましょう。
よくある質問
- 昔から使っている化粧品でも急にしみるのはなぜ?
- 肌質が変化し、以前よりも刺激に敏感になっている可能性があります。使用期間が長いほど安心して使えますが、美しい肌を守るためには、今の肌質に合わせた化粧品を使いましょう。
- 市販薬で治りますか?
- 肌の状態によっては、市販の塗り薬の成分によってヒリヒリ感が悪化する恐れがあります。塗り薬で治療したい場合は、皮膚科を受診して医師の指示に従いましょう。
乾燥した皮膚の痒みなど肌トラブルをサポート
乾燥による肌荒れには、漢方薬で身体の内側から“うるおいケア”をするのがおすすめ。『当帰飲子』には身体を芯からうるおす10の生薬が配合されています。パウチ&錠剤タイプの漢方薬は職場やお出かけ先への持ち運びにも便利です。
(薬剤師:15年)
化粧品を使ったときの肌のヒリヒリ感を、「化粧品が効いているサイン」と思う女性は多いですが、実際は肌が弱っているサインです。メイクやスキンケアのために、毎日化粧品を使用する女性も多いので、記事の内容をしっかりとチェックして、美しい肌を守りましょう。