
- この記事はこんな人におすすめ!
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- 湿疹は放っておいても治るのか知りたい
- 湿疹の原因を知りたい
- 病院に行くべきか悩んでいる
- 湿疹の対処法・予防法が知りたい
湿疹(皮膚炎)とは

湿疹とは「皮膚の表側に起こる炎症」のことです。
体内に侵入した異物に対して、かゆみの元となるヒスタミンやプロスタグランジンなどの物質が活性化することで発症します。
また、湿疹には発症から間もない「急性湿疹」と症状が慢性化した「慢性湿疹」というものがあります。
全身どこにでも起こり得るため悪化させないように早めにケアをすることが大切です。
急性湿疹
数時間〜数日以内の発症から間もない湿疹を「急性湿疹」といいます。
かゆみに加え赤いブツブツや小さな水泡などの「小型の皮疹」がみられるのが特徴です。
膿が溜まったりただれたりすることもありますが、通常はかさぶたが剥がれ落ちて治ります。
慢性湿疹
湿疹が長引き慢性化した状態を「慢性湿疹」といいます。
皮膚が乾燥し、ゴワゴワ・ザラザラした状態になるのが特徴です。
慢性湿疹がさらに進行すると皮膚が厚くなる「苔癬化(たいせんか)」や、黒く跡が残る「色素沈着(しきそちんちゃく)」が起こる場合もあります。
湿疹に効果的な漢方薬
ジュクジュクした湿疹には、体内に溜まった「水」や「熱」を発散させる『十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)』がおすすめ。ベタつくクリームを控えたい方や赤ら顔で悩んでいる方に向いています。湿疹のほかには繰り返すニキビ対策としてもおすすめです。
湿疹の原因
湿疹の原因は大きく「外的要因」と「内的要因」の2つに分けられ、具体的な原因として外的要因では花粉、細菌、金属などがあり、内的要因ではアレルギー、皮膚の乾燥、バリア機能の低下などがあります。
要因の種類 | 主な原因 |
---|---|
外的要因 | 物理的刺激、花粉、ハウスダスト、細菌、真菌(カビ)、化学物質、薬剤、昆虫、日光、金属など |
内的要因 | アレルギー、アトピー、皮膚の乾燥、バリア機能の低下、体調不良など |
湿疹はどれか一つの原因ではなく複数の原因が複雑に絡み合って起こる場合が多いです。

湿疹には複数の要因が考えられますが、原因がはっきりわからないこともあります。つらい症状が長引く場合は、無理せず早めに病院へ行きましょう。
湿疹の症状
湿疹にみられる症状には赤み、ぶつぶつ、かさぶたなどがあり、すべての症状が出る人もいれば、赤みだけ出てすぐに治る人もいます。
症状の経過 | 症状 |
---|---|
紅斑(こうはん) | 赤み |
丘疹(きゅうしん) | ブツブツ |
小水疱(しょうすいほう) | 小さな水ぶくれ |
膿疱(のうほう) | 膿んだ水ぶくれ |
湿潤(しつじゅん) | ジュクジュク |
結痂(けつが) | かさぶた |
落屑(らくせつ) | かさぶたの剥がれ |
湿疹が出たら早めのケアが大切
湿疹は赤みだけで治ることもあれば、すべての症状を経たのちに治る場合もあります。慢性化すると苔癬化や色素沈着に進行することもあるので、段階にかかわらず湿疹が出たら早めにケアすることが大切です。
湿疹の種類
湿疹の種類には代表的なものとしてかぶれ、アトピー性皮膚炎、手湿疹、皮膚欠乏症湿疹、脂漏性皮膚炎の5つがあり症状も異なります。
湿疹の種類 | 症状 |
---|---|
かぶれ(接触皮膚炎) | 赤み、ブツブツれ、水ぶくれ |
アトピー性皮膚炎 | 強いかゆみ、ジュクジュク |
手湿疹(主婦湿疹) | カサカサ、ひび割れ、ブツブツ、水ぶくれ |
皮脂欠乏症湿疹 | かゆみ、乾燥 |
脂漏性皮膚炎 | フケ、乾燥 |
湿疹の種類は、ほかにも手のひらに1〜2mmくらいの小さなプツプツができる「汗疱(かんぽう)」や汗疱から生じる「異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」などがあります。

湿疹の種類として、他にもコイン状の湿疹・炎症がでる「貨幣状湿疹」などもあります。判断が難しい場合や、悪化傾向にある場合は医師や薬剤師に相談してください。
湿疹の治し方・対処法
湿疹になった場合の治し方や対処方法として「ステロイド外用薬を塗る」「原因を除去する」「かゆみを冷やす」といったことが効果的です。
ステロイド外用薬を塗る
湿疹の薬物療法として有効なのが、病院でも処方される「ステロイド外用薬」です。
使用する部位や作用する強さに合うものを選ぶことで適切にかゆみや炎症を抑えられます。 市販薬もありますが、適さないものを選ぶと症状が悪化する場合があるため購入する際は必ず薬剤師や登録販売者に相談しましょう。
原因を除去する
湿疹の原因とみられる物質や刺激がわかる場合はすぐに除去しましょう。
生活のなかで原因物質そのものを避けるだけで、ある程度の湿疹予防ができます。
手湿疹を繰り返す場合は不必要な水仕事を避ける、ゴム手袋をつけるなどの対処を心がけてみてください。
かゆみを冷やす
湿疹でかゆみが出たら掻かずに冷やすのがおすすめです。
患部を冷やすと神経の活動が弱まり湿疹のつらいかゆみを軽減できます。

湿疹は冷やしすぎると逆に強いかゆみを感じることがあります。氷や保冷剤は布でくるみ、患部に直接当てないようにしましょう。
湿疹の予防が期待できる3つの方法

乾燥や刺激から生じる湿疹の予防方法として以下の3つが期待できます。
- 肌を清潔に保つ
- 入念にスキンケアする
- 漢方薬で内側から保湿する
どれも自宅でできるケアばかりなので、湿疹に悩んでいる方はぜひ実践してみてください。
肌を清潔に保つ
肌に刺激を与えないように湿疹が出たらいつも以上に「清潔に保つ」意識をもちましょう。
ソープは「低刺激」や「敏感肌用」と記載のあるものを選ぶと、より肌への刺激が少なくなります。
ゴシゴシ洗いは刺激が強いためたっぷりの泡でやさしく丁寧に洗うことが大切です。
入念にスキンケアする
化粧水だけで済ませていた方は、乳液やクリームなど保湿力の高いケアも取り入れてみましょう。
とくに乾燥がひどい秋〜冬はボディクリームで全身を保湿するのがおすすめです。
肌のバリア機能が正常に整い、かゆみやカサカサが軽減されていくでしょう。
漢方薬で内側から保湿する
肌を内側から潤わせる漢方薬として、乾燥からくる湿疹に体内の「血」と「水」を補う『当帰飲子(とうきいんし)』やジュクジュクした湿疹に体内に溜まった「水」や「熱」を発散させる『十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)』などがあります。
まとめ
湿疹は強いかゆみを伴い見た目にも変化が出てしまうつらいものです。
症状が出たら早めに原因を除去したりステロイド外用薬を塗ったりして対策しましょう。
また、日頃から肌を清潔に保ち入念にスキンケアをするなどで予防することも大切です。
対処法や予防法を試しても症状が長引く場合は、自分では思いもしなかった原因が潜んでいる場合もあるので早めに病院に行くようにしましょう。
よくある質問
- 湿疹が出たら何科に行くべき?
- 湿疹で悩んだときは「皮膚科」を受診しましょう。
皮膚の専門家である皮膚科では豊富な知識と経験から湿疹の原因や種類などを丁寧に分析してくれます。
病院では症状に合うステロイド外用薬を処方してもらえるので「市販の薬だとよくならなかった…」という場合も皮膚科を訪ねてみてください。 - 湿疹と蕁麻疹って何が違うの?
- 湿疹は「皮膚の表面で起こる炎症」で、蕁麻疹は「身体の内側で起きたトラブルが皮膚にあらわれたもの」を指します。
複数の要因が絡み合っている湿疹とは違い蕁麻疹は原因が特定できない場合が多いです。 - 「ステロイド外用薬は作用が強い」って本当?
- ステロイド外用薬は、作用刺激が強いものから弱いものまであります。
作用の強さによって5つのランクに分かれており、作用刺激が強すぎない1〜3ランクは薬局やドラッグストアなどでも購入が可能です。
一方で作用刺激が強い4〜5ランクは「医療用医薬品」にあたり、医師の診察を経てはじめて処方されるものになります。
皮膚の厚みや症状などによって適切なランクが異なるため医師や薬剤師に相談してうえで服用しましょう。
繰り返す湿疹は漢方薬で内側から潤わす予防を
掻きむしると広がるジュクジュク湿疹は、体内に溜まった「水」や「熱」を発散させる『十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)』で改善。ベタつくクリームを控えたい方や、赤ら顔で悩んでいる方におすすめです。湿疹のほかに、繰り返すニキビにも効果を発揮します。

(薬剤師:15年)
湿疹がどういった症状なのかご存知ですか?今回は湿疹の原因や対処法などを紹介します。ちょっとした赤みやかゆみといって放置すると慢性化する恐れもあります。自分でできる対処法で繰り返す湿疹とスッキリおさらばしましょう!